彼らは誰が売り、誰が買っているのか、資金の流れを追跡しようとします。彼らは価格波動のチャートを研究し、パターンの存在を探知しようと努めるのです。
市場はフィードバック過程に支配されており、このプロセスがトレンドを作り出す傾向がある。 流動性の高い金融市場の力学を理解する最良の全体的枠組みモデルは、「決定論的カオス・モデル」であって、「ランダム・ウォーク・モデル」ではない。
カオスが意味するものは、多くの、あるいはほとんどの経済システムにあっては、客観的かつ定量的な長期予測は不可能だということである。
一般的には、情報が相場を動かすのではなく、相場が情報を生むのである。 状況の変化に迅速に反応する市場の能力の背後には、市場参加者の側の、こうした頭の回転の速さが存在することが少なくない。しかしシュンペーターによれば、投資家たちがこれ以上買う理由がないと思った途端、彼らは売りに回るという事実のほうがはるかに重要である。
市場はときに希望、強欲、それに恐怖といった非合理な感情によって完全に圧倒されることがある 君の市場では恐ろしく強力なポジティヴ・フィードバック・ループが働いている。しかも、このループはある種のフラクタルな振る舞いと結合している可能性があるんだ フィードバックとは、アウトプット情報を使ってインプットをコントロールする働きのこと。自動的に均衡経路からはずれるボジティヴ・ループとそれへ収束するネガティヴ・ループがある。
システムの振る舞いに関する込み入った計算の結果は、初期値に依存するところが非常に大きかった。 バタフライ効果は、以後「決定論的カオス」と呼ばれるようになった複雑な数学的現象の一環である。 「予測不可能性はマクロ経済システム自体の内生的特性の一要素であり得る」 経済システムは、たとえば単純な循環変動といった複雑でない状態から、二個の均衡点の間の振動のような、より複雑な状態へと移動し得る。 臨界パラメーターへの圧力が強まるほど、分岐はより多く発生する。 「イギリスの海岸線は、いやこの問題ではどこの海岸線だって同じだが、無顔に長い。決め手はどれだけ近づいて観察するかだ。最小の湾の内部にもっと小さい湾を発見できるし、入り江のなかにまた入り江があるというわけで、海岸の総延長は永久に増大していく」 私たちは定期的に、いろいろ異なった段階で繰り返し発生する経済や金融の現象を見出す。 同時に異なる段階でしばしば同一の現象を繰り返すことのある動学システムは、それゆえに予測という挑戦に新たな可能性を加えるものであることもまた明らかである。 次元が非常に高次になると、どんなにたくさんのバック・データ(過去の観察記録)が集積されていても役に立たない。
たとえまったく偶然のパターンであっても、多数のディーラーが利用すれば有効なシグナル(信号)を発し始めるだろう。 チャート分析が広範囲に利用されている事実の背後には、それが単に市場マインドを読み取るテクニックに止まらないという点がある。ときにはチャート分析が市場心理を左右する。しかし、このルールにはどんでん返しがあることを忘れてはならない。もし(ほとんど)全員が同一の分析をすれば、もはや自己強化的ではなく自己破壊的になるという点である。 チャーチストは通常多くの個人的な方法と優先順位に従って分析しており、また市場参加者のなかでは、しばしばほんの限られたグループしか形成していない。それにもかかわらず、無名の、メンバー同士が顔を合わせたこともないチャーチスト友愛会が、おたがいの考えを推測し合い、共同で市場を支配し、驚異的な相場のパターンとフォーメーションを作り出している。しかも毎回ゲームは、その到達点が万人に明らかとなり、その結果、パターンが自己分解するまで続く。
投資家たちが現在のトレンドと矛盾する情報を避けようと努めるならば、相場のトレンドは彼らがそうしない場合よりも長続きするだろう。
人々が瞬間瞬間の圧力に抗するには、自らに対する確固とした信頼に支えられなくてはならない
「仲間を出し抜くよりも、時間の圧力と将来についてのわれわれの無知の圧力を打破する力のほうがいっそう多くの知力を必要とする。その上、人生はあまり長いものではない。
トレンドが明瞭に転換し、その直前にきわめて大量の建玉残高が積み上げられた事実があれば、損失を抱えた連中が皆カバーを取る必要があるため、新しいトレンドはさらに強められる可能性がある点である。 自分が株売買に向かないことをしっかり自覚しているようなら、ブローカーに対して「自分の出した注文と常に正反対の行動を取るように」と、あらかじめ指示しておけばよい。 ブラック・ジョークのようにも聞こえるが、逆張り戦法の実戦者たちは実際にそうしている。 強気筋が大多数ということは古典的な分散過程の終焉を意味し、相場は間もなく反転することを示唆する」 私たちがメディアに求めるのは、「ものごとが完全に明白になり始め、皆がそれに同意していると見られる」時期がいつごろだったかを探ることだ。 あるものごとが万人に明白になった時点がいつかは、確実に言うことは難しい。しかし、メディアが上昇または下落はこれから何年も続くと予測し始めるときには、相場反転が近い。
株価の下落がストレスを引き起こし、ストレスが急激な態度変化を誘発する。その結果、新たな売り注文が発せられ、これが再び株価の低落、血圧上昇、態度変化をもたらし、さらにまたいっそうの株価下落を引き起こす。
嫌な決定より楽しい決定のほうがはるかに容易だから(再び自我防衛的態度)、有利なポジションにある者が真っ先に反応する。 「従来形成されたもみ合い圏を通じて価格が急角度で方向転換するのに成功しない限り、トレンドはそのまま保たれる。したがって、上昇トレンドは、より高い天井とより高い底の出現が続く限り不変である。下降トレンドは、より低い天井とより低い底が存在する限り持続する」 多くの人々はこのパターンを間違って解釈し、上昇トレンドでは直前の底が最大の支持線になると信じているが、前回の天井が当然いちばん重要であり、下降トレンドでは前回の底がもっとも重要である。 ある価格圏で取引される期間が長いほど、ディーラーたちはこの価格をよく覚えているだろう。 「最良のトレンドは、ほんの短い区間しか過去のもみ合い圏をためそうとは企てないトレンドである。 「移動平均線は短期的な波乱を捨象した後に現れる需要と供給における基礎的なトレンドを表現する」。 「相場が強い上昇トレンドにあれば、すべての移動平均線は市場価格を下回る。移動平均線はすべて上向いており、いちばん長期の平均線が市場価格からいちばん遠くに離れている。下降トレンドではこの逆になる」 「複数の移動平均線がかなりの長期間事実上重なり合って推移した後に、ゴールデン・クロスまたはデス・クロスが現れれば、これはシグナルを強化する」 投資家たちの典型的な投資保有期間(がそれだけ短期であるということ)と彼らの知識態度の機能に見出されなければならない。 丸めた数字という疑問点に対する答えは、当初から完全な分析手段でないことは分かってはいたが、厳密な証拠がないままに皆が便法として選んだというものだ。しかし、いったん選ばれた以後は、自己実現効果が市場の行動を分析手段に順応させたのである。 「トレンドラインとチャネルは、現在あるもっとも自己強化的なシグナルであり、価格が直線に接する回数が大きくなるほど重要性が増す」 「損失は確定し、利益は成り行きにまかせる」。 私たちは損失を出しているポジションを手仕舞うのではなく、利益を上げているポジションを閉鎖する傾向が強い。このため上昇相場のほうが出来高は大きくなる。 平均点が平均点以上ということは当然あり得ないから、私たちは平均的には明らかに自己過信である。
相場が毎日毎日、毎週毎週、いや毎月毎月、一センチも動かなくなると、頑固に弱気(ドル安見込み)であり続けることは本当に難しくなる。そこで、今もなお市場に止まっている者たちは自分のポジションを防衛するため、「一五七円以上に上がれば買い、一五三円以下に下がれば売り」というストップ・ロス(逆指し値)注文を出す。 非合理的な個人心理だけでなく、人々が相互に働きかけ合うことにより実現される論理的行動主義をも反映する。
個別株価の展開を「親族関係」にある株価(分類上同一の類に属する株価)と比較することだ。
ROC=一〇ならば、売ってはならないというわけだ。
この遭遇戦では、トレーダーだけが市場内部の小集団である。彼らにとっては、何をしようと意図しているか(またはせざるを得ないか)は、あらかじめ決まっている。したがって、唯一の変数は「タイミング」である。 トレンドの転換を期待するのであれば、市場全体に深刻な影響を与える動きを探らなければならない。 大口投資家の売りだけでは、トレンド転換を誘発しないという点である。転換が起こるのは、しばしば(大魚から小魚への株式)分散が終了し、小口市場参加者たちの一部が株を売り始める時点以後のことである。分散が終了すると、もはや買い手はいなくなり、相場は崩壊する。今や、ポジティヴ強気相場ルーブのすべてが逆回転を始める。 時間要因は知識態度に関係し、この要因だけで一次トレンドを転換させる力がある。
来るべき相場の転換点を警告するもっとも重要なシグナルは、極端な評価と金融情勢の重大な変化の二つである。 まだ実在しない以前にそうした画像を見立ててはならないという点だ。 真に信頼できる二重あるいは三重天井(または底)が完成すれば、そのシグナルはきわめて強力で、それまでのトレンドが大規模であるほど、新しい逆トレンドもより大規模であることが期待できる。 多くのチャーチストは、実際には存在しないへッド&ショルダーズ・フォーメーションをチャート上に見てしまう。なかでも最悪の失敗は、下降トレンド中にヘッド&ショルダーズ・トップ・フオーメーションを見て、このトレンドが確認されたと信じてしまうことだ。
ノイズは時間の経過につれて蓄積されることはない。まったく逆で、長期ではよいニュースも悪いニユースも平準化されると期待される。平均の法則が君臨し、外生的ノイズも単なるノイズになる。 ルーブは累積的であり、事実ブレイクアウトのようなタイミング・シグナルは、フィードバック・ループから導出されている。 ノイズは短期シグナルを攪乱し、カオスは長期の見方をかき乱す。 いったん市場に特定のトレンドが組み込まれると、予測は比較的容易になる。反面市場にトレンドが見出せないときは、短期的なシグナル対ノイズ比率は大幅に悪化し、株価の波動は本当のランダム・ウォークに近づく。 一か月から六か月の期間については、市場の全体的な継起順序に関して適切な想定を置くことができる。 「戦術的タイミングとは、市場がどう動くかという予測のみに基づき、市場で取引を試みることを意味する」 戦術とは行為を規律あるものにし、個人的な情動を抑制するという問題である。よき戦術とは非合理的な恐怖、疑惑および強欲に対する安全ヘルメットである。
疑問があれば、壁に掛けたチャートを上下ひっくり返して、再び同じことを繰り返して見ることだ。 「トレンド上で取引するときは、上げで買い、下げで売れ」 「明確なストッブ・ロス水準が決められると、株価はその水準に着地することがほぼ確実となる。ストップ・ロス水準が価格を引きつける」のである。 「先行したトレンドがより大型であるほど、また転換のフォーメーションがより大型で、より劇的であるほど、転換後の運動はより顕著である」 新しく誕生したトレンドの最初の局面は変わりやすい 「もみ合い圏で取引するときは、下げで買い、上げで売れ」 ①まず終値を根拠にブレイクアウトを評価する。 小規模市場では往々にして出来高の増加のほうがブレイクアウトよりも安全なシグナルになる。 「出来高はトレンドに従う」ことを記憶せよ。フォーメーションの内部で出来高が増減すれば、ブレイクアウトの方向に関する目安を得ることができる。 時期尚早のブレイクアウトと偽のブレイクアウトだ。なぜ偽のブレイクアウトと呼ばれるかといえば、これが現れた直後に反対方向で真のブレイクアウトが出現するからである。 ブレイクアウトの方向を感じとることができれば、もみ合い圏での戦術的株式売買は、はるかに安全な気晴らしとなる。
「自分がどんな存在であるかが分からないならば、株式取引所は自分自身を知るための高価な場所である」
「フラクタル」とは自己模倣現象のこと。カオス(非線形系)のもつ重要な特性の一つ。
「あるプロセスが、完全に決定論的なシステム(系)によって生み出され、しかし標準的な時系列法でテストするとランダム(予測不能)であるように見える場合、そのプロセスは決定論的カオスの特徴をもつ」
しかしときどきは、一見フラクタルであるように見えながら、実は満ち潮と波のように相互に無関係の現象を見出すこともあるだろう。景気循環はその例である。
「実際のところ、データが高次元の決定論的な系の産物なのか、確率系の産物なのかを識別することは不可能」
高次元カオスの解読は数学的に困難だが、部分的にはランダムではない「何か」の存在を示す数学的なテストによって裏づけられる。しかし、その何かが何であるのかを正確につき止めることはできない。
いくつもの天井と底が継起的に上昇するという望ましい状況が破られると、ただちに地合は変化する。上昇トレンドでは上昇する底(通常は以前の天井)を、下降トレンドでは低下する天井(以前の底)を、もっとも綿密に注視しなければならない。
このようなトレンドの下では、以前の天井ともみ合い圏が破られていないどころか、真剣にためされてもいないわけだから、チャーチストは市場から退出すべきではない。
ダウならこう言うだろう。「その反対が証明されるまでは、トレンドは変わっていないと考えなければならない」と。
「トレンドラインがより急勾配であるほど、またチャネルがより急勾配で、より狭いほど、トレンドの基礎的持続性は、よりしっかりと確認される。トレンドラインがより急勾配であるほど、それが破られても危険シグナルはより微弱である」
「トレンドの方向性に関する市場の不確実性は、もみ合い圏の継続期間が長いほど高まる。現在の市場価格以下での潜在的な売り意欲と市場価格以上での潜在的な買い意欲は、時間の経過とともに積み上がる」
国全体の指数を見ることはもっと重要だ。
端的に言って、新天井はROCの高い値で確認されないならば慎重に検討されるべきである(図355参照)。これは確実なルールではないが、通常、今後のトレンド変動に対するよい事前警告となるものだ(ただし、このルールは真のトレンド転換とは何ら関係がない)。
長期投資関連の取引では、一般ルールとして、ROCは、いずれ行うことが決まっている取引のタイミングを測るための補足的な武器としてのみ利用すべきである。
トレンドの転換は単に時間の経過だけで起こり得る。しかし、そういうことは比較的まれなことである。
多くの者は天井が最終的に破られる以前に「ダブル・トップだ」あるいは「トリプル・トップだ」と叫び、早まって(ポジションを買いから売りへ)転換したり、あるいは手仕舞ってしまう。
したがって、私たちはでかいことを求めるべきなのだ。非常に大型のトレンドのなかに小型のヘッド&ショルダーズ・フォーメーションを見出したとしても、いかなる長期のトレンド・ポジションも手放してはならない。
②もみ合い圏からの最終的なブレイクアウトがやってくる方向でのみポジションを設定する。
ブレイクアウトの持続性を評価するには、終値の少し前まで待って結論を出すのが良策だろう。経験の示すところでは、市場の終値をベースにすると、結果ははるかに確実である。